軽くて耐久性に優れた特殊金属・チタンに精通!
御朱印に落款、社判… チタン製印鑑で半永久的に継承する

有限会社 チタンエンジニアリング
福岡県久留米市田主丸町田主丸923-4
■代表者: 村上 政利
■創業: 平成3年10月21日
■計画承認日: 平成29年12月31日
 
■TEL: 0943-74-4050

貴重な知識を武器に、誰にもできない仕事をする

軽くて耐食性に優れたチタンは、以前より精密機械や医療機械、食品製造機械の部品などに数多く使われてきた。最近では軽さと強度が求められるプロペラやタービンなどの部品への応用が進み、今後ますます需要が見込まれる金属となっている。 しかしながらチタンは他の金属に比べて加工が難しく、取り扱いには専門知識が必要となる。そのためチタンを扱える業者は、九州でもわずか2社。その希少性を生かし「有限会社 チタンエンジニアリング」では、九州一円はもとより関西などへも商圏を着実に広げている。 代表の村上さんは独立する前、チタンを始めとする金属の加工会社に勤めていた。業界では名の知られた会社で、村上さん自身も大きなプロジェクトに携わってきた。 村上さんは営業担当だったが、製造現場にも精通。ここで研磨や溶接など、チタンに関する加工知識を深めていった。こうして培った専門知識や、仕入れ元・加工業者との人脈を元に独立。現在、村上さんが取り扱う製品は、機械部品や熱交換器など。材料であるチタンを調達し、加工業者を選定するなど、商社のような役割を担っている。 また10年ほど前からは、自ら加工を手がけるチタン製印鑑をECサイトで販売。ここでも専門知識を生かした加工が評判を呼び、「他のチタン製印鑑とちがう」と、購入客から高い評価を博している。

仕入れ元と加工先…知識がつなぐ、強力なコネクション

大手と肩を並べる、驚きの調達力
チタンは特殊な金属であるため、仕入れルートの確保も容易ではない。「良質な素材を安く安定的に仕入れる」ことは、チタンを取り扱う業者にとって生命線のようなもの。
その点、村上さんは会社員時代の人脈を生かし、大手卸売業者との間に直接ルートを確保している。チタンに対する村上さんの深い知識が、業界大手との直接取引を可能にしている。

豊富な専門知識で加工業者を自ら育成
仕入れ元と同じく村上さんにとって重要なのが、技術力の高い加工業者とのパイプ。
しかし村上さんが独立した当初、周囲にチタンを加工できる業者はいなかった。チタン加工に特殊な機械は必要なく、ステンレスの加工ができればチタンも十分加工できる。つまり問題は、設備ではなくその知識。そこで村上さんは、加工業者をいちから育成することに。ヤル気のある若手の加工業者にチタン加工のノウハウを教え込み、信頼できる加工業者を自ら創り出していった。




経営革新計画を策定してみようと思ったきっかけは?

10年ほど前から製造現場で出る端材を使って、チタンの印鑑を作ってきました。チタンには他の金属にはない親油性があるため、象牙や柘植のように朱肉がしっかり付きます。まるで紙に吸い付くように押印できるんです。また強度があるため、ガラステーブルなど固い台の上での使用も可能。使っていただいたお客さまからは高い評価を得ています。
しかしこれまではECサイトからの受注で生産しており、いわば「待ちの営業」でした。その待ちの営業から脱し、積極的な販路拡大を模索するうえで今回の新商品開発となりました。

経営革新計画の内容

Q. 新商品の概要と、その新規性を教えてください。
「半永久的に劣化しないチタン素材を使用した大判印鑑の製造及び販売」です。コンセプトは、希少な文字や図案、文章などをそのままの形で半永久的に残すこと。
御朱印や書の写し、印影でしか残っていない神仏の御姿など、後世に残したいものは、半永久的に残るもので再現しないと意味がありません。それにはチタン製の印鑑がピッタリなんです。

・古くから伝わる印影を後世に残し、継承する
・劣化しやすい木製やゴム製印鑑の作り替え
・オーダーメイドで文字や図案を印鑑にする

新製品のチタン製大判印鑑では、このようなニーズに対応できると考えています。今までは個人や会社向けの印鑑ばかりでしたが、今後は神社仏閣・教育機関・書道家といった方たちにも直接営業していくつもりです。
もちろんチタン製の大判印鑑で社判を作ることも考えています。法人であれば社判は絶対に必要ですから、営業もしやすいですし。

今まではチタン印鑑のための彫刻機を使って、時間をかけて彫っていました。うちは他社より刃物を鋭角にするので、細かい作業まで丁寧にできる反面、時間がものすごくかかります。
従来のやり方ではさすがに大判印鑑の製造は難しいので、最新のレーザー彫刻機を導入する予定です。作業時間を現在の1/3〜1/4まで短縮することが可能ですので、これまで以上に積極的に取り組んでいきたいですね。

Q. 将来の展望は?
チタン製の印鑑を作っている印鑑屋さんは他にもありますが、チタン加工の技術がないため、加工業社に外注しているのが実状です。
その点、うちにはチタン加工のノウハウがありますから、企画・受注・製造・販売・保守まで一貫して提供することができます。デザインの細かいオーダーにも対応できますし、印影などの再現性の高さにも自信があります。
競合他社はありますが、品質の面で十分に勝負できると思っています。

経営革新計画を策定してみていかがでしたか?

Q. 策定期間中、どんな支援を受けましたか?
いろいろなアドバイスを受けましたよ、こちらが目指していることについてとか…。
経営革新もですが、あとは、ものづくり補助金の提出する文書の添削ですね。「要点は何か」、「この箇所は強調した方が良い」など、自分では気づかないことがたくさんありました。自分の思い込みで書いている部分があったり、見落としていた部分があったり。
もちろん最後は自分で決めるので、あくまでも「こうじゃないですか?」というアドバイスなんですが、言われてみれば納得できるものばかりでした。

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高いリピート率が高品質の証
うちのチタン製印鑑には、リピーターが多いんです。「使ってみて良かった」と言って、また注文してくれる方が多い。他社のチタン製印鑑を使っていたお客さまが「ここのは全然ちがう!」と言って、10本ほどまとめて買ってくれたこともあります。
大事なのは、印面の仕上げです。同じレーザー彫刻機を使っても、この最後の仕上げで朱肉やスタンプのノリがまったく違ってきます。うちでは印面を特殊な砥石で研磨しますが、ある程度ギザギザに仕上げています。これでインクものるし、押印したときに滑らなくなる。2度押し、3度押しもできるようになります。
印鑑は印面が命。これからも印面にこだわって、丁寧な印鑑づくりを心がけていきたいですね。

高級感溢れるチタンカラー
金属の印鑑はカラーを選べないと思われるかもしれませんが、うちではシルバーメタリック・ゴールド・ブルー・ピンク・ブラウン・パープル・グリーンから選べます。
どれもチタン特有の色合いで、美しい色なんですよ。
また仕上げ肌も、ヘアライン加工・梨地加工・研磨加工の3種類から選べます(研磨加工のみ追加料金あり)。
金属ならではの“美しさ”をぜひご覧ください。

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