信用を丁寧に築き、真っ先に顔を思い出してもらえる会社に

アリトモ商事
久留米市善道寺町飯田509-8
■代表者: 有馬 智樹
■創業: 2022年6月1日
 

事業内容

町の家電店に向けた、白物家電の卸・販売を手掛ける、家電小売業として独立。現在は電気店だけでなく、企業から個人宅まで要望に合う家電を提案し、納品している。

About us 会社概要

「今ならまだ失敗できる」と起業を決意
長く勤めた家電業界での経験を活かし、家電卸売・小売業として独立・開業を果たした「アリトモ商事」の有馬智樹さん。思い切った決断の背景には、奥様の後押しもあったと言います。
「社会人生活でさまざまな業界を経験してきましたが、前職の経験を転職後に活かせないことがほとんどでした。家電業界は長かったので、妻は『転職するにしても経験を生かせないともったいない』と思ったそうなんです」。転職も視野に入れていた有馬さんは、「まだやり直しがきく年齢の今なら」と一念発起して、開業の準備をスタートしました。

経験を武器に、基盤を整え事業を展開
手掛ける家電の卸売・小売業の主な取引先は町なかの家電販売店(家電店)です。個人店であれ、量販店であれ、家電店は卸売会社から商品を仕入れ、値付けをして販売しています。有馬さんは業界で培った人脈もあり、売り先はある程度目途が立っている状態でした。
しかし、問題は売るべき家電の仕入れ方です。経歴があり、信用があれば掛売できますが、個人で立ち上げたばかりの会社だと信用がまだないため現金取引となるのです。開業には先立つ資金が必要と考え、田主丸町商工会に融資と開業の相談をしました。その後、創業計画書をつくることになったのです。
また、もともと勤めていた会社から家電を仕入れるつもりで開業の準備を進めていましたが、卸値に双方合意できずに仕入れ先をイチから探すことになりました。結果、時間はかかりましたが新しい仕入れ先を見つけることができ、2022年6月に開業に至ります。




Founding 創業計画

●中小企業診断士の先生を含めて計画立案
計画はわたしと、田主丸町商工会のご担当者、中小企業診断士の先生と3者で進めました。セミナーのように他の人がたくさんいると詳しい話は言いにくいところもありますが、ざっくばらんに包み隠さず内情を共有できたのがとてもよかったと感じています。

●事業推進の柱を決める
今となっては少し状況が変わったところもありますが、当初は懇意の地元企業や、家電業界で広げた人脈を活かした会社への訪問・卸売販売、個人宅への販売を主な柱として事業を進めることにしました。

●開業後の取り組み 卸会社によっては季節ごとや、半年に1度ほどのペースでつくる家電販売のチラシを、私のところでは毎月作成し、手配りしています。電気店は卸会社から配られたさまざまなチラシをもとに入荷する商品を決めるため、このチラシがないと注文が来ないと言っても過言ではありません。こまめにチラシを手配りするからこそ、注文につながると考えています。

●開業して良かったこと
良くも悪くも、全ての責任は自分。やりがいもあるし辛い部分でもあります。ただ、会社員だった頃と違って、働く時間も自分の差配によるので、お客様の希望に合わせやすくなった部分はあります。

Future その後の展開と未来への展望

半導体不足と信用不足のダブルパンチ
開業後は、仕事と家族のサポートを二足のわらじでこなしているなか、再び懸念材料が浮上します。一つは、半導体不足でそもそもの家電の納期が著しく遅れていたこと。もう一つは販路の開拓です。有馬さんの予定していた卸売先、販売先の電気店はもともと取引をしている会社があるのが常。そこへ新規参入していくので、足しげく通い、関係を構築することが必要なため、思った以上に時間がかかったのです。
契約までにこつこつと信用を築き、ようやく契約に至っても、半導体がなく商品が手に入らない…という悪循環を抜け出したのは2022年の後半に入ってからのこと。今でも入荷には時間がかかりますが、状況は少し改善したと言います。

人と人との付き合いを大切に事業を拡大
今注力しているのは個人宅への販売です。田主丸町近郊には、高齢者の多い行政区も多くあります。そういった場所ではそもそも、電気店へ出向いて商品を選び、購入することが困難な方々もいます。また、電気店のオーナー自体も高齢化し、後継がいないまま店をたたむことも増えていると言います。そんな個人宅へ「商品を1個からでも持っていきます」と伝え、チラシを配布して顧客を開拓しているところです。今はまだ声掛けだけでも、いずれ必ず反響が出ると信じて地道に種をまき続けています。
また、一般的に流通している家電とは違う、高品質な「住設ルート(住宅設備のルート)」を使った仕入れも可能になりました。これで、安く多く売るのではなく、良いものを丁寧に売るベースをつくることができたと有馬さんは言います。これまでと変わらず、取引先とは丁寧に信用を築き、頼られる存在となる。そして3年後、5年後には今まいている種を育て、事業を拡大する。そんな未来が有馬さんには見えています。