感覚的な“心地良さ”を追求するオーダーメードの家づくり

マルハ建築工房
久留米市田主丸町豊城91-7
■代表者: 狭場 順二
■計画承認日: 2021年11月25日
 

事業内容

2001年から建設業界での経験を積み、2007年に独立。木のぬくもりを活かした住宅の設計から新築施工・リフォームまでさまざまな要望に応える建築工房。

About us 会社概要

現場の経験を活かした施工を提案
「建設現場では自分の道具に名前を書く場合、〇(マル)の中に頭文字を入れていたんです。私の場合は〇にハ。その“マルハ”を屋号にしました」と話す「マルハ建築工房」の狭場順二さん。現在は住宅の設計から新築施工・リフォームまで、さまざまな要望に応える建築工房を経営していますが、もともとは多くの建設現場で腕を磨き、現場を指揮する棟梁でした。
独立後は小規模な修繕工事やリフォームが多かったものの、2014年に建築業の許認可を受けてからは、新築の戸建て住宅の注文など規模の大きな発注も入るようになり、気心知れたチームで受けています。「新築は年に数件で、多いのはやはり、リフォームや修繕工事です。中にはドアだけなど、パーツをつくる仕事もあります」と狭場さん。自ら手掛けた「マルハ建築工房」の事務所も、無垢の床材、珪藻土を使った壁、木製の窓枠、インテリアのデイベッドに至るまで、積み重ねた経験が垣間見られます。

強みは手づくりならではの温かさ
狭場さんの仕事で特徴的なのは、やはり「無垢材」。「無垢の材料を使うことを心がけています。が、あまりにそればかりだとバランスが悪くなるので、工業製品や金属加工したパーツを組み合わせるなど、材料と質感も重視します。奇抜なことはあまり好みません」と狭場さん。裸足で歩いた時の感触、空気感、香り…そういった“感覚”を大事にしているそうです。
また、左官工事を入れたり、特注でドアの取っ手や棚を鉄工所でつくってもらったり、自ら家具を製作したり、温かみある「手づくり」も積極的に取り入れています。「今は気密性や断熱性など“心地よさ”を数字で表すこともできますが、数字で表せない、肌で感じる“気持ちの良さ”や経年変化の面白みを追求するのもいいのでは、と思うのです」。
今回、経営革新計画書を申請したのは、狭場さんの強みである「無垢材を使った建築」をより強化するのが目的でした。




Management Innovation 経営革新

●経営革新計画で変化すること
「無垢材をふんだんに使った自然素材を活かした住宅施工」という特徴を打ち出して、他社と差別化し、さらなる新築工事・リフォーム工事の受注につなげることです。

●経営革新計画をもとに導入したもの
木工機械、宮川手押しカンナの導入と、これらの設備を活用するための幹線設備工事です。これまで手作業で行っていた作業が動力ででき、作業効率があがります。また、機械を導入すれば加工面が美しくなるため、「木」が見えるデザインの提案が可能です。設備投資して良かったと今は思います。

●導入後の変化
前よりスピード感は上がっています。着工から6カ月かかっていた工期が2週間程度に短縮されるので、その分他の案件を引き受けられるようになる計算です。これまで手が回らない時は注文を断ることもあり、「チャンスを逃したくない」と思っていたので、前より引き受けられる体制が整ったことはいいことでした。

●経営革新計画書をつくってためになったこと
今回、計画書の作成で田主丸町商工会にかなりお任せしたところもあって…とても助かりました。話がしやすくて、今後何か困ったことがあったらすぐに相談しよう、と思えるようになりました。

Future その後の展開と未来への展望

お客様にはとことんお付き合い
狭場さんは仕事を引き受けると、まずは打合せに行き、場合によっては設計士とともにお客様のもとへ出向き、丁寧に要望を聞き出します。現場調査をして設計図に起こし、その後見積もりとあわせてお客様に確認。お客様が納得いくまで10回でも20回でも図面を書き換え、双方で合意できたら施工、という流れです。全ての要望をただ聞くだけではなく、もちろんプロとしてのアドバイスはしますが、基本はとことんお付き合いする。それが狭場さんの手法です。
「施工中にお客様に実際に現場を見てもらって、『こういうやり方をしてみませんか?』と提案し、良い方向へ変わることもあります。お客様のしたいことと職人さんたちの希望がばっちり合うと、とてもわくわくします」。

技術も家も、人も、未来につなぐ
発注はほとんどが紹介で、特に営業活動はしていないそうで、それだけ依頼があるのは、お客様の要望を丁寧に聞き、「頼んでよかった」と思われるような仕事を続けてきたからにほかなりません。
お客様の望みを、オーダーメードで叶える。そんな狭場さんが統括する現場には、最近、若手から「雇ってくれませんか」と依頼があるそうです。「若い人と一緒に進めると、仕事のスピードが上がるし、何より現場が明るくなるんです。楽しいですよ」と狭場さん。これからは新築物件を増やしていきたい、と語ります。「古民家を改築する現場に関わりたいですね。きちんと手を入れたら100年以上はもつから、50年、100年と経った良い建物を残したいんです。限りある資源も大事ですから」。
こういった現場を通して、若手に大工の技術を継承したい、と狭場さん。建設の仕事を通して、家も人も、未来につないでいます。

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