学食から古民家食堂へ…新たなる一歩を刻む
念願の食事処をオープン！SNSやイベントで客を呼ぶ

高校生に愛される学食から、地元で愛される「すぐる屋」へ

代表の父である先代が、平成17年に創業した「有限会社豊城フーズ」。創業当初は、久留米市にある高校の学生食堂を運営していた。1,500名が在籍するマンモス校、さらには食べ盛りの高校生とあって、学食は朝から夕方まで大盛況。1日に二度も三度も訪れる学生がいるほど、生徒にも先生にも愛される食堂だった。しかし平成29年3月、施設の新設にあたり「豊城フーズ」は学食から撤退。12年の歴史に幕を閉じた。
それと同時に、2代目である田中卓さんが代表に就任。平成30年3月、地元・田主丸にて念願の食事処「すぐる屋」をオープンさせた。メニューや料理内容など試行錯誤を重ねた結果、学生向けから一般向けへ…、華麗なる転身を遂げている。
「すぐる屋」では、昼は各種定食やパスタ、夜は一品料理からコース料理までを幅広く用意。昼はボリュームたっぷりの定食をリーズナブルな値段で提供し、夜はお酒に合う料理を和洋問わず取り揃えている。
料理だけでなく、カウンターやテーブル、お座敷まで、「すぐる屋」の座席は多種多様。少人数で飲みたい人、友人や家族などのグループ客、足の悪い高齢者など、さまざまな人がさまざまなシーンで利用できるお店となっている。

古民家でいただく、定食ランチから夜の宴会＆コース料理

古き良き風情を大切に…こだわりの古民家リノベーション
国道210号線から奥へ約50m。「すぐる屋」の外観には、長い歳月が生み出す重厚感と、新しく清潔な空気感が共存する。
田中さんが「一目で気に入った」と言うのは、友人から紹介された築90年の古民家。定期的に手入れされていたため状態は良好で、改装に当たっては、古民家の雰囲気をできるだけ生かすよう心がけた。漆喰で新しく塗り直した壁と、天井を走る昔ながらの古い梁。新旧が入りまじった心地よい空間が、訪れた客を温かく迎えてくれる。
また、左官職人が手作業で仕上げた床には、わざと模様をつけてもらったと言う。見た目に美しいだけでなく、平らでないため、雨の日でも滑りにくい。子どもから高齢者まで、幅広い年齢層を受け入れる細かな配慮がなされている。

大評判！ボリュームたっぷりでリーズナブルな定食
ランチの定食は、「トンカツ定食（750円）」、「鶏の唐揚げ(秘)ダレ定食（650円）」、「焼き鯖定食（650円）」、「牛肉コロッケ定食（540円）」…と、美味しそうなメニューがズラリ。
なかでも「 鶏の唐揚げ(秘)ダレ定食」は、カリッと揚がった大ぶりの唐揚げに、甘酸っぱい(秘)ダレが程よく絡み絶品。リピーターの多い、人気メニューとなっている。
すべての定食に、副菜2皿・漬物・味噌汁・ご飯がついて、ボリュームもたっぷり。リーズナブルに美味しいものをたくさん食べられると評判だ。
また、こちらの野菜はすべて地元の新鮮なものばかり。知り合いや親戚など、付き合いのある地元農家から直接仕入れている。定食に添えられる副菜2皿も、こちらの新鮮野菜を使ったもの。定食の満足感を高める、影の名バイプレイヤーだ。

創業計画策定支援を受けようと思われたきっかけは？

田主丸でお店を出そうと思った時から、商工会さんには入会するつもりでした。商工会さんは地元に密着しているので、やはり地元で商売をするなら…と思って。それに、税理士さんにも勧められましたしね。
商売はしていましたが、自分で店を構えるのは初めて。田主丸での商売も初めてだったので、入って良かったです。

創業計画書を策定してみていかがでしたか？

やっぱり融資が一番ですよね。学食の場合、設備はすべて学校側が準備してくれるので、これまで融資とか受けたことがありませんでした。
先代と一緒に学食で6年ほど働きましたが、これまでとはまったく違う。右も左も分からない状態だったので、書類とかは本当に助かりました。

商工会を活用した感想

商工会では、創業の相談をしている中で、小規模事業者持続化補助金の制度も案内してもらいました。「古民家を活用した居酒屋が実施する若者向けイベントによる集客」のテーマで補助金の申請も行い、お店を知ってもらうための取り組みに活用することができました。

当たり前ですが、学食のお客さんは学生さんです。顔なじみの子もたくさんいて、よく喋ったりもしていました。学食では料理さえ作れば学生さんは絶対に来てくれていたので…。
今はまずお客さんに店を知ってもらって、来てもらえるようにしないといけない。リーフレットはもうすでに制作して、配布・設置しました。
これからはインスタを活用して、BBQや婚活パーティーなどのイベント情報を発信していきたいですね。
すでにインスタは始めていますが、いろんなイベントを開催してお客さんを取り込んでいきたいと思っています。
また、今は自社HPを制作しています。自社HPでは、夜のコース料理の内容などをしっかり紹介して行く予定です。SNSで発信するイベント情報なども、HPでじっくり紹介できればと思っています。

夜はコース料理も用意していますが、まだあまり知られていません。今は予約の電話をもらっても、席の予約だけです。事前にHPでコース料理の内容を見てもらえれば、そちらの予約も増えるのではないかと期待しています。
小さいですが、雰囲気の良い日本庭園があるので、そこでBBQをできるようにする予定です。座敷の外にウッドデッキを作ってもらうよう、すでに業者さんにも話をしています。BBQは、食材と飲み物だけをこちらで用意して、あとはお客さんに焼いてもらうスタイルで。週末の家族連れなどにニーズがあると思っています。
今年はラグビーW杯が開催されるので、パブリックビューイングなどもする予定です。婚活パーティーなど各種イベントを開催して、どんどんお客さんを呼んでいきたいですね。

自社ＰＲ

気取らない料理の影に…フレンチ仕込みの調理法
調理学校を卒業した後、久留米のフランス料理店などで修行しました。ですので、ジャポネソースやトマトソースなど、ソース類には自信があります。材料は変わらないんですけど、分量の配分にコツがあるんです。一般家庭では出せない味。自分では、この辺で一番美味しいと思っています（笑）。
唐揚げの(秘)ダレも、調理士の友人に教えてもらったレシピを自分なりにアレンジしています。
学食は“質より量”だったので、「すぐる屋」をオープンするにあたり、メニューをすべて変えました。
大人が好むような味に仕上がっていると思います。
夜のイチオシは「おでんの大根の唐揚げ」。味の染み込んだおでんの大根に衣をつけて、揚げています。お客さんもはじめは驚いて、食べたら「美味しい！」って言ってくれます。うちに来たら、絶対に食べて欲しい。オススメです。
また、うちの野菜は知り合いの農家さんが持ってきてくれるものばかり。めちゃくちゃ新鮮です。夜のお造りに使う魚は柳川の魚市場から仕入れていますし、美味しいですよ。

客を飽きさせない！ユニークなアイデア
夜は「ちょい飲みセット」が人気です。生ビール・ハイボール・カクテル・焼酎・ワイン・ウイスキー・枝豆・タコわさ・揚げ盛り・がめ煮・肉じゃが・ポテト…の中からなんでも好きなものを3品選んで、 1,000円。お得です（笑） また、夜はゆっくり飲まれる方が多いので、飲み放題をオススメしています。飲み放題は30分500円で、コース料理の飲み放題は2時間1,500円。うちは滞在型のお客さんが多いので、じつはコース料理の方がお得なんですよね。平均して2時間ぐらいは飲んでる方が多いですし。
今は「平日限定！女子会プラン」を計画中です。6〜7品の料理にデザート、飲み放題が付いて3,000円。デザートは、フォンダンショコラやチーズケーキ、モンブランといったガッツリ系にして、女性客を呼び込みたいと思っています。
イベントは若者向けになりがちですが、うちは90代ぐらいのおじいちゃんが、夜に一人で来られることもあるんですよ。なんか良いですよね。客層も、20代〜80代とバラバラですし。お客さまも地元客が中心なので、これからも地元に愛される店を作っていきたいです。

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