農機エンジンの洗浄サービスで地元農家への恩返しをしたい!
- Diesel Wash
- 久留米市山本町耳納894-1
- ■代表者: 後藤浩平
- ■創業: 2024年4月1日
事業内容
ディーゼル車のエンジン内部の洗浄サービス。カーボン(すす)や塵などが付着するエンジンまわりの装置を専用の洗浄機を用いることで、装置を分解することなく短時間で洗浄できる。訪問サービスによるスピードとリーズナブルな価格設定を売りに、ディーゼル車両を持つ農家や運送会社などに鋭意営業中
About us 会社概要
JAで17年間勤務、農家に幅広いネットワーク
後藤さんは20歳の時に久留米市農業協同組合(JAくるめ)に就職。農業生産者をサポートする営農推進担当として8年間、農家が生産した野菜を市場に販売する営業職を9年間務めました。営業職では久留米市内の農家に出入りしていた関係で経営の実情を知り、同時に人的ネットワークもできました。
仕事は順調でしたが、年功序列の賃金体系などを理由に独立を考えるようになりました。2023年3月、37歳のときに知り合いの経営者や友人たちに背中を押される形で退職。ただ、独立後の明確なビジョンがあったわけではなかったと後藤さんは振り返ります。
「これまでの経験を生かせるし、頑張れば頑張った分だけ収入になるので就農も考えました。ただ、市場の動きによって価格が変動するなどリスクもあり、なかなか踏み出せないでいたところに出会ったのがディーゼル洗浄サービスでした」
エンジン内部の洗浄サービスに着目
軽油で動くディーゼル車は大きな出力が必要なトラックやバス、トラクターなどに使用されています。
ディーゼルエンジンの内部には燃料噴射装置(インジェクター)が設置されており、電子制御によって最適な燃料を噴射して燃焼を発生させ、エンジンを動かしています。そのためインジェクターはディーゼルエンジンに欠かせない装置です。
しかし使用していくうちに、インジェクターのノズルに燃焼で発生したカーボン(すす)や塵などが付着し、噴射量が低下していきます。その結果、エンジン出力の低下やアイドリングの不調などを引き起こします。カーボンを洗浄除去するにはディーラーに持ち込むのが一般的ですが、インジェクターを分解して洗浄するため作業に数日間が必要で、その間は車両が使えません。
ただ、専用の洗浄機材を使えばインジェクターを分解することなく洗浄できます。機材は持ち運び可能であるため顧客のもとへ出向いて洗浄することができ、その日のうちに作業を終えることができます。
この話を車関係の会社を経営する知人から聞いた後藤さんが実際に洗浄機を使用してみると、その効果を実感しました。市場調査を行うと同様のサービスを手掛ける事業者は周辺にいませんでした。後藤さんにはトラクターなどを保有する農家とのネットワークもあることから、このサービスで創業することにしました。
Founding 創業計画
・田主丸町商工会への相談のきっかけ
商工会に相談に行くと、いろんな支援が受けられることは知り合いの経営者からも聞いていました。後藤さんの出身校(浮羽工高)、いとこが経営する果樹園がいずれも田主丸町であったこと、距離的にも久留米市内の他の商工会より近いということで田主丸町商工会に相談に行きました。
・創業までの歩み
2023年12月に指導員と中小企業診断士から「経営」「財務」「販路開拓」「人材育成」について学ぶ4日間のカリキュラムを受講。「農業以外の知識がなかったので経営の基本を身につけることができました。特にマーケティングはとても勉強になりました」
・創業に向けた支援
洗浄機材(ディーゼルプロ)、営業に使用する車両(軽バン)の購入費など新規開業資金の一部を、金融機関からの低利の融資で賄いました。
Future その後の展開と未来への展望
まずは農家の提案に注力
2024年4月、洗浄機材と機材を運ぶ軽トラを購入して事業をスタート。JAの退職からちょうど1年後のことでした。
主な営業先はトラックやバス、トラクターなどのディーゼル車両を保有する個人・法人で、具体的な業種では運送会社やバス会社、農家などになります。特に農家はトラクターと2tトラックは必ずと言ってよいほど保有していますので、まずは農家への営業提案に力を入れ、早期に事業を軌道に乗せようと後藤さんは考えました。
ただ、後藤さんが多くの農家とのネットワークを構築できたのも、JAで仕事をしていたからこそ。そのため事業開始後はJAくるめに出向いて洗浄サービスを始めることを伝え、組合員の農家への提案に向けた連携を模索しています。
「農家の方に『トラクターのメンテナンスはどうしていますか?』と尋ねると、『機械のことは分からないので業者に任せきり』という答えが返ってきます。知識がない以上、それも仕方ないと思います。私ができるのはインジェクターのメンテナンスだけですが、それでも洗浄前後の数値を見せることで効果を証明できますし、燃費向上や車両の安定稼働、性能回復などにつながることも説明できます。不具合が発生する前に洗浄することで整備コストや燃料コストの低減にもつながりますので、定期的な洗浄の提案もしていきたい。『分からないから任せる』で終わらせず、お客さまと一緒になって最適なメンテナンスの方法を考えていきたいですね」
事業を通して地元に貢献したい
生まれも育ちも田主丸町という後藤さんは、起業によって〝地域の発展に尽くしていきたい〟という気持ちが芽生えてきたと言います。
「農家の方と話をすると『トラクターの新車は高額で、とても手が出ない』「燃料代も高くなって厳しい」という声を聞きます。洗浄サービスによって少しでもランニングコストを抑えることができれば経費削減につながりますし、トラクターの購入資金を積み立てることもできます。サービスを通して農家の皆さんをはじめ地場企業のお役に立ち、地域活性化に貢献できればと思っています」
誠実な人柄と大きな地域愛を持つ後藤さん。その新たな挑戦が始まります。