視点を変え動線を工夫し、風を感じる庭づくりのプロの新たな提案
- 株式会社 万代園
- 久留米市田主丸町恵利474-1
- ■代表者: 中野 武俊
- ■創業: 1988年10月
- ■計画承認日: 2021年5月31日
事業内容
創業以来、久留米市を中心とした広範囲で、一般住宅の外構工事および造園工事を通し、健康や環境に配慮しながら暮らすライフスタイル提案を行っている。また、公共工事では公園整備や街路樹管理などに携わるほか、顧客の庭の管理も担当している。
About us 会社概要
オーダーメイドの庭づくりを手掛けて30余年
創業以降、大手ハウスメーカーからの依頼をメインに、一般住宅の外構工事および造園工事を手掛けてきた「株式会社 万代園」。外構工事は同じデザインのところは一つとしてなく、それぞれの家族のライフスタイルに合わせた完全オーダーメイドです。そのほか、住宅地の造成に合わせた街路樹の植栽や公園整備をはじめとする、公共工事も担ってきました。
強みはどんなオーダーにも応えてきた、提案力。月平均で15件以上もの依頼を引き受けるなか、「ハウスメーカーの仕事は、コミュニケーションが重要です」と代表取締役社長の内藤寿成さんは話します。「メーカーの担当者よりも、お客様と接するほうが格段に多い仕事です。こまやかな気配りと長年培った経験からくる提案力で『万代園さんに任せれば大丈夫』と言われるよう、信頼を築いてきました」。
新たに生まれた「家族で楽しむ庭」の需要
2020年以降も順調にハウスメーカーからの発注を受け、公共工事も続いていましたが、コロナ禍を契機に、新しい事業展開を意識し始めました。ここ数年で家時間を楽しむ生活がいっそう重視されてきたため、経営革新計画書で「子ども中心の庭づくり」を計画したのです。
家を建てる20~30代が増えており、家の庭で楽しむ“おうちキャンプ”も浸透してきました。実際に、テントを張るためのフックを取り付けた庭や、子どもたちが遊べる遊具のある庭も増加しているそうです。内藤さんは「家にいながらアウトドアを楽しみ、外の自然環境を感じられる庭園を提案しようと考えました」と話します。
Management Innovation 経営革新
●経営革新計画に活きる提案力について
計画の段階・図面作成の段階で、お客様の理想に添えるように、図面上だけではわからない細かい部分の修正を経験に基づきアドバイスしています。また、流行なども鑑みながら、お客様の希望を叶える提案も行っています。また、実際の現場では植栽ごとに趣が違うため、その場で提案することもあります。
●経営革新計画書をつくって得られたこと
コロナ禍の時期に仕事が減ったなか、こういった計画書をつくることで「目標があるから、頑張ろう」と思えたことです。これまでの経験があるからこそ、プラスアルファの新しい提案を考えられたかと思います。
●経営革新計画で取り組む予定の事業
「子ども中心の庭づくり」として、部屋の延長として庭を位置づけ、子どもの成長や家族のライフステージの変化に合わせて変更できるフレキシブルな庭を提案しました。具体的には子どもが小さい時期には人工芝を敷き詰め手入れを省力化、その後、ライフステージの変化によって庭のデザイン変更や外構工事を実施する計画です。
●補助金を活用したアプローチ
チラシやWebサイトを作成し、ポスティングもしながら、既存顧客へとアプローチする予定です。
Future その後の展開と未来への展望
庭づくりの醍醐味は視点と動線と自然
「もともと、造園が好きだったんです」と話す内藤さん。今は少なくなりましたが、一つとして同じものがない石、そして自然な植木つくる「動きがある庭がつくりたかった」と話します。「風が吹くと揺れて、日が射すと木漏れ日が落ちて。そういう、風が見える、自然を取り込んだ庭が好きです」。
動線も、庭の面白みの一つだと内藤さんは話します。「私は、園路が先にあると思うんです。どこをどのよう通るアプローチなのか、園路によって奥行きも変わります。たとえ狭くても視点の移動で広く見える。そういう庭を考えるのが好きだったんです」。
強みの「提案力」を活かすため人材育成にも尽力
お客様から「お任せします」と言われ、おおまかに書いた図面しかないなか、内藤さんは予算内でできるつくり込みを提案してきたそうです。玄関を開けたら見える庭に小山を配置し、その小山の中を歩く園路を設け、動線を曲げることで広さを演出。「お客様から『こんなに変わると思わなかった』と言われました」と、造園の醍醐味を教えてくれた内藤さん。
今後は、「こういったノウハウを次世代へ残していくことも、私たちの役目だと考えています」と話します。そのため、入社2~3年が経った社員には造園技能士や施工管理、土木関係の資格取得を推奨し、技術の継承にも力を入れています。お客様からの信頼と、万代園の技術に、次世代の新鮮なアイデアも加わり、これからも“ストーリーのある庭”が増えていくはずです。