人気飲食店を軸に事業多角化、地域の活性化にも一役
- 有限会社豊城フーズ すぐる屋
- 久留米市田主丸町豊城1365-3
- ■代表者: 田中 卓
- ■計画承認日: 2023年6月16日
事業内容
古民家をリノベーションした飲食店「すぐる屋」を2018年3月から運営。昼はボリューム満点のランチが売りの食事処、夜は豊富なメニューが揃う居酒屋として賑わう。弁当のテイクアウトサービスのほか、2023年4月からは浮羽工業高校での食堂運営および給食提供、弁当宅配サービスを行っている。
About us 会社概要
学食運営から飲食店に転換、さらに多角化をめざす
田中さんの父が2005年に創業した豊城フーズは、長らく久留米市にある高校の食堂を運営していました。1,500名が在籍するマンモス校で、さらには食べ盛りの高校生ということもあり学食は朝から夕方まで大盛況だったといいます。田中さんは調理学校を卒業後、フランス料理店などで修業を積んで豊城フーズに入社。食堂運営を通じて大量の調理技術や短時間での調理ノウハウなどを習得しました。
その後、2017年3月に高校の施設が新設されたのを契機に学食事業から撤退。同時に田中さんが会社を承継して飲食店事業への転換をはかり、2018年3月に田主丸町で食事処「すぐる屋」をオープンしました。
築90年の古民家をリノベーションした店で昼はボリュームたっぷりの各種定食やパスタ、夜は一品料理からコース料理まで幅広く提供しています。豊富なメニューを武器に予算に応じた団体客のニーズにも応え、店の雰囲気も相まって人気店に。カウンター、テーブル、座敷など思い思いの場所で家族や友人と楽しいひと時を過ごせる地域の憩いの場となっています。
コロナ禍で来店者が減少、新規事業を模索
順調だった飲食事業を2020年、新型コロナウイルス感染症が襲いました。行動規制のあおりを受けて来店客は激減し、売り上げは大きく落ち込みました。行動規制が緩和されて徐々に客足が戻りはじめた矢先の2023年夏には久留米市一帯が水害に襲われて店も浸水、営業停止を余儀なくされました。さらに仕入価格や光熱費の上昇、人手不足にも悩まされています。
一方で、来店者減少で落ち込んだ売り上げを少しでも補おうとテイクアウトサービスを開始。一人暮らしの高齢者などに提供している「夜のおかずのみ惣菜」は特に好評で、介護・福祉関係の会社や団体などからは宅配についての問い合わせも増えてきました。さらに店の近くにある県立浮羽工業高校から食堂運営の業務委託を打診されました。
こうしたコロナ禍以降の経営環境の変化を受けて、田中さんは飲食店以外に新たな事業を立ち上げ、経営多角化を目指すことを決意。まずは弁当宅配サービスと高校の食堂運営に参入することにしました。食堂運営においては少人数で効率よく回せるように券売機の導入を検討していたことから、補助金を申請できないか相談するため商工会へ足を運びました。
Management Innovation 経営革新
・田主丸町商工会への相談のきっかけ
2018年に飲食店を開業した時に田主丸町商工会の創業支援制度を活用。商工会にも入会して青年部に所属するなど、会員の一人として活動していました。そのため食堂事業の券売機購入に際しても、自然な流れで補助金に関する相談をすることができました。
・支援内容と成果
補助金申請に必要となる経営革新計画をはじめ、設備投資計画や運転資金計画などの作成において指導・助言を受けました。「書類作成は指導員さんから丁寧にサポートしてもらえたので、スムーズに申請手続きを進めることができました」。
・経営革新計画書に基づいた取り組み
食堂での少人数による効率的な運営を目指して券売機を購入。その購入費に補助金を充てることができました。
Future その後の展開と未来への展望
ノウハウを生かして食堂運営を開始
2023年4月から浮羽工業高校の食堂運営がスタート。同校には定時制コースもあるため、昼の食堂運営に加えて夜の授業を受ける高校生たちに給食を提供する契約を結びました。食堂では「すぐる屋」の人気メニューを中心に定食4~5種類、麺類、カレー、おにぎりなどを揃えました。夜の給食は管理栄養士が監修した1カ月分の献立をもとに食材を仕入れ、調理しています。以前手掛けていた学食事業で培った大量の調理技術・短時間での調理ノウハウが生かされています。
前に同校で食堂を運営していた業者から厨房機器の一部を買い取ったほかは、据え付けの設備・機器を利用できたため初期投資が抑えられました。また、業務効率化・非接触化をはかるため券売機を購入・設置し、少人数のスタッフで無理のない食堂運営ができるようになりました。
地域を盛り上げる活動にも一役
もう一つの新規事業として、弁当の宅配サービスを開始しました。弁当のメニューは浮羽工業高校の給食として提供する献立を共用しています。給食と同じ材料を使うことができるため仕入れコストの削減につながるほか、学食の厨房でまとめて調理できるため業務の効率化につながっています。
「今後はチラシのポスティングや介護施設などへの提案を進め、安定した注文獲得につなげていきたい」
とさらなる販路拡大を目指しています。
商工会の青年部に所属し、人が集まる場を提供する飲食業を営んでいる田中さんのもとには、ビジネスだけでなく地域活性化につながる企画など様々な相談が寄せられます。経営多角化を進めるなかでヒントになる情報も多く、すでに次の新規事業についても水面下で準備を進めていると言います。
そして田中さんが強く願うのは、生まれ育った田主丸が元気なまちになること。これまでも地元事業者や商工会青年部のメンバーと協力しながら地域イベントの企画・運営にも広く関わってきました。
「自分のビジネスはもちろんですが田主丸全体を活性化し、たくさんの人が集まるまちにしていきたいですね」
今後の目標を尋ねると、そんな力強い言葉が返ってきました。