無農薬・化学肥料不使用の米づくりを通して、農業・田主丸の魅力を伝える

百笑倶楽部
久留米市田主丸町竹野283
■代表者: 田中 大輔
               
■補助金採択日: 2021年6月18日
■TEL: 090-8221-8454
             
■支援内容: 事業再構築補助金

事業内容

1993年に農薬・化学肥料を一切使わないお米・古代米の生産を開始して以来、福岡県久留米市の個人消費者・飲食店への直接販売(toC)を中心に事業を展開してきた。また、2019年からは地元酒造メーカーと協同で生甘酒「RAW甘酒」を製造している。

About us 会社概要

植木農家としてのジレンマに気づく
農薬・化学肥料を一切使わないお米・古代米を生産し、とれたお米を使った甘酒などの商品開発も手掛ける「百笑倶楽部」。もともと植木農家「田中正花園」として始まり、代表の田中大輔さんの父の代からは米づくりもスタート。田中さんは、父親のような米農家としての道も見つつ、1990年代にアメリカ、そしてドイツ・オランダの農場へと研修に出かけた頃は「植木農家がメインの道を考えていた」と話します。
「オランダで5カ月住んだのは、ボスコープという田主丸町のように植木で栄える小さな町でした。帰国してからもしばらく植木農家を続けたのですが、次第に疑問も生まれてしまって…」。父から農薬・化学肥料の弊害を聞いていたのにも関わらず、植木には農薬・化学肥料を使ってしまっている。また、自分で「良い」と思った植木でも需要と供給が合わない。そういったことが続いた頃、母親の代わりに行った米の配達が、進路変更の契機になりました。

生業の一部門だった米づくりを独立化
植木農家だとお客様と直接会う機会はありませんが、米農家だとお客様に対面できます。「おいしい」「ありがとう」と声をかけられ心を動かされました。さらに、ブログで米づくりについて書くと、お客様からの問い合わせが増えることも、やりがいの一つとなりました。「子どもが生まれるタイミングだったので、米農家だと自分のつくったものを食べさせられる、とも考えたのです」。
「田中正花園」の一部だった米部門を独立させ、屋号は「百笑倶楽部」にしました。「百姓」という言葉には百の仕事が出来る人といった意味があり、「百の仕事が出来るまで、百の仕事を楽しくやれるように」との願いが込められています。販路はほぼ、飲食店や一般消費者で、ひと月当たり約70軒。久留米市近郊だけでなく、福岡市や粕屋郡へも直接配達しています。紹介やホームページでのPRで徐々に顧客は増えてきましたが、コロナ禍で飲食店や保育園への販売が減少しました。そこで、田中さんは新たな手に打って出たのです。




Rebuilding 事業再構築補助金

●新事業の構想
飲食店や保育園からの注文が減る中、既存のターゲットとは異なる層にアプローチすることを考えました。一般流通できないような基準に満たない小さなお米を粉砕し、新商品の米粉として販売して、収益性アップを図っています。

●新事業の優位性
近年、健康意識の高まりやアレルギー問題もあって、アメリカやヨーロッパを中心としたグルテンフリー市場が拡大しています。小麦粉に代わる材料として米粉が注目されているので、自社で生産している農薬・化学肥料を一切使用していないお米と古代米(黒米・赤米・緑米)を活用しようと計画しました。

●事業再構築計画で導入するもの
米粉を作るための製粉機、乾燥機、ふるい機、色選機、販売していくための真空パック機、保管のための保冷機の導入、加工場の建設を予定しました。近隣農家に流通に乗らない小さいお米を活用できる設備がないため、米粉加工から販売までできる点も、優位性に繋がると思っています。

●販売計画
Webサイトでの販売をメインに、2023年から販売予定です。農薬・化学肥料不使用の米粉自体が流通量としては少ないので、アレルギーが気になる方だけでなく自然派志向の方もターゲットに見据えています。

Future その後の展開と未来への展望

「どうにかなるから、楽しく働かないと」
新たな事業を計画していた新型コロナウイルスが流行していた時期、田中さんは「どうにかなる」とずっと信じていました。それは、海外での研修経験があったからこそだと語ります。「さまざまな状況を実際に目にして、苦しい時でも、自分たちだけが苦しいのではないと感じました。過酷な現実でも明るく働く外国人の同僚に、『自分も楽しくしないと』と思ったのです」。 その印象も屋号に繋がっているのかもしれません。事業再構築の申請が通った後は、補助金で加工用の機械を導入し、加工場が完成しました。ラベルのデザインを決め、今は製粉の細かさなど最終的な調整に入っています。

農作物を通して、農業の魅力を伝える
お米や古代米をメインに、黒米、赤米、緑米、もち米もつくり、それだけでなく、異業種との商品開発に、農業体験、季節限定のしめ縄づくりまでも手掛ける「百笑倶楽部」。ここにさらに、オリジナル商品の開発・販売が新たに加わりました。今後は「事業を安定して運営し、継承できる体制をつくりたい」と田中さんは話します。代々続いてきた農家も、田中さんで19代目。さらに20代、21代と受け継いでいくには、地域に愛される事業体であることも大事だと言います。
百笑倶楽部でつくったお米や商品を通して、その後ろにある農業の魅力、地域の魅力までも伝える。それがお客様へ提供する価値だと田中さんは話してくれました。

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