全国トップクラスの切り花・花木を生産、地域の課題解決にも挑む
- 株式会社 コスモファーム野口
- 久留米市田主丸町鷹取697-5
- ■代表者: 野口 政之
- ■補助金採択日: 2021年9月2日
- ■支援内容: 事業再構築補助金
事業内容
全国に136 存在する市場の中で、トップ10 の売り上を誇る市場のうちの5社、トップ20に入る市場のうちの2社と取引を行い、全国の大手仲卸や大手フラワーチェーン会社への生花販売、草花を中心とした切り花、花木の生産を手掛けている。
About us 会社概要
花きの需要が増え、市場にも変化が
2020年以降、家で過ごす時間が格段に増え、心地良い暮らしや家族との時間が改めてフォーカスされたここ数年。もともと人気だった観葉植物や切り花への興味もさらに高まり、切り花業界の市場は4000億円とも言われています。そんな中、全国に136 存在する市場の中で、トップ10 の売り上を誇る市場のうちの5社、トップ20に入る市場のうちの2社と取引を行い、大手企業ともネットワークを築く「株式会社コスモファーム野口」は、新しい事業に乗り出しました。
これまでは市場を経由し、全国の大手仲卸や大手フラワーチェーン会社への生花販売、草花を中心とした切り花、花木の生産を手掛けてきました。取り扱い種類は60~70種。その市場自体が変化していると代表の野口政之さんは話します。「以前は私たちが納品した商品を、市場の担当者が振り分けて、せりで売っていく方式でした。しかし今はWebを活用し、私たちは商品在庫情報を事前に開示、前もって注文を取り付け、販売日前にすべて買い手がついている状況です」。効率化しないと、現状維持はできても発展しない、と野口さん。半年も前に見込み売り上げを立てているのは、生花業界では画期的な取り組みでした。
コロナ禍で新たな需要が生まれ、新規事業へ
これまで生花のみの販売事業で業績を伸ばしてきた同社は、2019 年の末に生産規模拡大、従業員増員、花農家の取引件数増、設備投資…とステップアップの準備をしていました。そこへ、2020年のあの出来事が起きます。冠婚葬祭、イベントの中止で予想の50%程度の売り上げとなってしまいました。
そこで、全国のトップシェアを誇るグラス類(草花)の加工業務を新たに始めることにしたのです。グラス類の加工とは、切り花に染めの加工を行い、ドライ加工をしたもの。コロナ禍で業績を大きく伸ばした大手サブスクリプション会社に納品するための切り花カット業務も含まれます。加工のためには設備が必要なため、事業再構築事業計画書を申請しました。
Rebuilding 事業再構築補助金
●新規事業での優位性
私たちはグラス類に特化し、他社が行っていない同一品種の年間栽培を手掛けるほか、既存では手に入らない種子を弊社採種で増加・栽培。年間栽培を可能にしています。地域の花農家とパートナーシップを結び、地域を巻き込んだ大量生産を行える仕組みがあるため、大手市場や仲卸、大手企業と常に情報交換しながら消費ニーズをつかみ、生産・販売できる優位性があります。
●新規事業に取り組む理由
現在は家庭内で切り花を楽しむサブスクリプションの需要が高まっています。通常の生花は収穫してから1~2週間程しかもたず、各家庭に着いた頃には、鑑賞期間が短く、花痛みがひどいものもあるため、花もちの良い新たな商品開発が必要でした。
●補助金で切り花加工用の施設を建設
これまで当社に加工場はなく、加工作業が発生すると加工専門の業者に発注していました。ひとえにドライ加工といっても単に乾燥させるのではなく、ある程度鮮度が必要ですし、湿度や温度調整も重要なので、花のプロとしてのドライ加工を行うべく加工場を増設したのです。田主丸地域では初めての取り組みだと思います。
Future その後の展開と未来への展望
Future その後の展開と未来への展望
実は、日本に流通している花のうちの6割は海外からの輸入が占めています。東南アジアや遠く中南米で生産された花が航空便に乗って日本にやってくる――野口さんは「なぜ輸入のドライ(花き)ではなく、国内のドライを使おうとしないんだろう」と常々思っていたそうです。国内生産のドライを受け入れてもらえるように、市場にもかけあってきました。
大切にしているのは、企業理念にも掲げた、「人々の満足度を高める道具を提供する事に努力する」「1人でも多く、困っている人を助け、地域発展、産業発展のための社会貢献に寄与する」ということ。「道具とは花きのことです。花をただつくるだけでなく、農業には経営力も必要ですし、閉鎖的な市場も中にはあります。それを打開しつつ、地域の農業を発展させるために取り組んでいます」。
補助金を活用した「その先」が常にある
コロナ禍の時期はずっと、「ピンチをチャンスに変えよう」と社員に言い続けてきたと話す野口さん。今回の申請は、「補助金をもらうために申請したわけではない」と言います。「補助金をいただいたことで、さらに次の事業を発展させることができる喜びがあります。補助金を受け取ったその先を見ているのです」。
花農家を増やして生産した花がすべてきちんと流通にのるような仕組みをつくり、さらに売り上げを増やせるような新たな事業を始める。結果、新規事業も軌道にのりはじめ、従業員だけでなく花農家も増やす取り組みを続け、人材を育成し、事業規模を拡大しています。今後、解決に乗り出すべき問題として捉えているのは花の「流通」について。「他の地域の農家さんと提携できないか」と、野口さんは常に「その先」を見つめながら、今日も全国を飛び回っています。