肌に優しいセサミオイルの開発から伝統医療の伝道師へ
- LANKA株式会社
- 久留米市田主丸町石垣1365-6
- ■代表者: 秋山恵利
- ■補助金採択日: 2023年11月27日
- ■TEL: 0943-72-3800
事業内容
2007(平成19)年に久留米市上津町で創業。スリランカ原産種のゴマを低温圧搾して抽出したオイル、そのオイルを使ったクリーム、石けんなどの製造・卸売・小売を手掛ける。2017年に耳納連山の麓にある現在地に工場兼直売所を移転。木々に囲まれ、カフェやショップを兼ねた工房で国内外からの来客を迎える。
About us 会社概要
自らの肌の悩みをもとに健康の本質を追求
スリランカ原産種のゴマを使ったオイル、クリーム、石けんなどを製造・販売するLANKA。創業のきっかけは、秋山さんの不思議な体験でした。
飲料製造機器の設計・施工を行う会社を経営していた秋山さんは、30年ほど前に缶飲料開発のためスリランカを訪れました。秋山さんは10代の頃から原因不明の湿疹に悩まされていたのですが、スリランカ滞在中にこの持病が悪化。このとき現地の伝統医療「アーユルヴェーダ」の施術を受け、スリランカ産のセサミ(ゴマ)を使ったオイルを肌に塗ったところ、これまでどんな薬を使っても治らなかった症状が一週間で改善。その後もオイルを半年ほど塗り続けると、黒みを帯びていた肌が白くなりかゆみも消えていったといいます。
この経験を機にアーユルヴェーダについての学びを深めた秋山さんは、現地の大学と連携し高品質なセサミオイルの研究・開発に着手しました。
「強力な紫外線と高温の中で育ったスリランカのゴマは、通常の2~5倍のセサミン(抗酸化成分)を含むなど天然成分が豊富です。ただ、ゴマを搾る際に熱が加わり、成分が失われるという課題がありました。試行錯誤の末、特殊な石臼を使って時間をかけてゴマを搾ることで、低温を保ちながらオイルを抽出することに成功しました」。
スリランカに工場を開設
セサミオイルを日本に持ち帰り、肌の悩みを抱える人たちに使ってもらいました。皮膚の乾燥・かゆみに苦しむ透析患者にも症状の改善が見られました。商品に自信を深めた秋山さんはスリランカに自社工場を開設して本格的な生産をスタート。
商品の存在はクチコミで徐々に知られるようになり、購入希望者が増えてきたことから販売体制を整えるため法人化を目指し2007年にLANKAを設立。セサミオイルのほか、オイルを使ったクリームや石けんなども商品化し、販売アイテムを充実させました。
これまで販売は通販代理店に任せて秋山さんは製造に専念していましたが、2020年に工場併設の直売所を拡大しホームページをリニューアルしたのを機に自社ブランドでの販売も強化しています。次に秋山さんが目指したのが「アーユルヴェーダのことを多くの人に知ってもらうこと」でした。
Sustainability 小規模事業者持続化補助金
・田主丸町商工会への相談のきっかけ
2020年、工場に併設された直売所を拡張する際にも田主丸町商工会に相談し、アドバイスを得ながら補助金を申請したことがありました。それ以来、商工会には折に触れて相談をしており、今回の持続化補助金申請についても自然に相談させてもらいました。
・支援内容と成果
一度、別の補助金申請の際に自分で書類を作成したことがありましたが時間をとられ、その間はほとんど仕事ができませんでした。書類作成で協力していただき、本当に助かりました。
・小規模事業者持続化補助金事業に基づいた取り組み
補助金を活用して、2023年に新設した化粧品工房兼カフェに「アーユルヴェーダ」習得カリキュラム提供のための商談・体験ルーム、展示室を増設しました。体験ルームではアーユルヴェーダに関心を持つ方にエステやマッサージ、食事療法、化粧品の使い方などを指導しており、関心を持った方にアーユルヴェーダ習得ツアーを案内しています。
Future その後の展開と未来への展望
スリランカでの伝統医療習得ツアーを企画
セサミオイルの購入者のなかにはエステサロンやヨガスタジオの経営者もいて、アーユルヴェーダに関心を寄せる人も少なくありません。また、スリランカには本格的なアーユルヴェーダの治療や研修ができる日本人専用の宿泊施設もあります。そこで秋山さんは現地でアーユルヴェーダについて学び・体験できるカリキュラムを企画し、ツアーを実施することにしました。
工場兼直売所そばの山麓に新設した工房兼カフェを増設し、商品の展示スペース、商談・体験ルームを設けて情報発信の拠点としました。体験を通じてアーユルヴェーダに関心を持った人には現地へのツアーを案内しており、2024年11月には第1回ツアーを実施。4名が参加しました。
現地で講習を受けアーユルヴェーダの理解を深めた参加者は、自らが経営するエステサロンなどでその知識を生かしたサービスが提供できるようになります。施術に際しては秋山さんが作ったセサミオイルが使用されるため、商品の販売拡大にもつながっていきます。そのため伝統医療を学ぶツアーの企画は「商品を売って終わり」だった従来のビジネスモデルを、「販路の多様化、継続購入者の創出」に移行させていく試みでもあります。
国内外の人が集うカフェ機能も充実
今回の一連の取り組みは事業継承も視野に入れており、ツアー企画は秋山さんの次女・築地幸花さんが中心になって行っています。秋山さんは少しずつ事業を引き継ぎながら、工房で来訪者への対応に力を入れていきます。
「工房はカフェも兼ねていますが、これまでは来訪者に出すお茶という感覚でコーヒーや紅茶、デザートなどを無料で提供していました。ただ来店される方からの要望もあり、食事も含めてメニューを充実させた上で料金をいただく形にしていこうと計画しています」
工房で商品を購入すると2割引ということもあり、北九州方面や県外などからの来店も多く、スリランカからの来客もあります。現在は週末を休みにしていますが「土日も開けてほしい」という要望も寄せられており、秋山さんの忙しくも充実した日々はしばらく続きそうです。